韓国旅行が人気の理由は?聖水(ソンス)に見る街歩きの魅力

韓国旅行の魅力は、ドラマや音楽で気になっていた世界を、食事や買い物、カフェ巡りとして楽しめること。好きなカルチャーが旅のきっかけになり、現地で過ごす一日が「行ってよかった」と思える理由になる。韓国旅行が人気を集める背景には、そんなつながりがあると考えます。
ソウルの聖水(ソンス)は、その魅力を考えるのにぴったりの街です。服を見て、おいしいものを食べて、カフェでひと休み。地元の人には日常の一場面でも、旅行者にはわざわざ出かけたい時間になります。注目したいのは、話題のお店の数よりも、自分の好みに合わせて一日を組み立てられることです。
韓流がきっかけでも、旅の楽しみ方は一つじゃない
韓国を訪れる人の多さは、統計にも表れています。韓国の文化体育観光部によると、2025年の訪韓者数は約1,894万人。2026年は1月から9月までで約1,711万人でした。これは各国・地域から韓国全体を訪れた人の数です。ソンスの来街者数でも、日本からの旅行者だけを集計した数字でもありません。
旅のきっかけを知る手がかりになるのが、韓国文化観光研究院が公表した2025年の外国人観光客調査です。韓国に関心を持ったきっかけとして、韓流コンテンツに触れたことを挙げた回答は40.1%で、最も高い割合でした。韓流が「次の旅行先は韓国にしようかな」と考える入口になっていることがうかがえます。
ただ、関心を持ったきっかけと、現地でしたいことは同じとは限りません。ドラマに登場した料理を食べたい人もいれば、韓国ブランドの服を見たい人もいるはず。音楽から韓国に興味を持ち、カフェ巡りや街歩きへと楽しみが広がることも考えられます。訪韓者をひとまとめに「推し活やロケ地巡りが目的」と捉えると、こうした幅を見落としてしまいます。
だからこそ、コンテンツの人気だけでなく、到着してから自分らしい時間を過ごせるかが大切です。好きになった文化を、食べる、選ぶ、歩くといった身近な体験につなげられる。その選択肢の豊かさが、旅行先としての魅力を支えているのでしょう。
聖水はカフェも買い物も、一日の流れで楽しめる
ソンスの面白さは、目的のお店に行って終わりにならないところにあります。城東区の公式観光案内では、かつて工場が集まっていた練武場通り(ヨンムジャンギル)周辺が、カフェや文化施設のあるエリアへと変わってきた経緯を紹介しています。大林倉庫、聖水連邦、onionなどを巡るカフェコースもあり、個々のお店に加えて、街を歩くこと自体が楽しみになっています。
工場や倉庫の面影が残る空間には、新しい商業施設とは違った表情があります。高い天井やレンガ、古い建物の構造と新しい内装の組み合わせ。コーヒーを飲む時間に、空間を眺める楽しみも加わるわけです。旅先のカフェは、休憩場所であると同時に、写真に残したい場所や、その街を思い出す風景にもなります。
買い物のあとにランチをして、カフェで休み、気になるお店をもう一軒のぞく。そうした流れをつくりやすいのも魅力です。ファッションが好きな人と、スイーツを楽しみにしている人が一緒でも、どちらかの好みだけに予定を合わせずに済みます。同行者と興味が少し違っていても、それぞれに楽しみを見つけられるのは助かりますよね。
もちろん、同じエリアでもお店同士がすぐ隣にあるとは限らず、移動時間や行列は別に考える必要があります。予定を立てるときは、回れる軒数を増やすより、混んでいたときに近くで別の楽しみを見つけられるかを意識したいところ。選択肢の多さは、少し余白のあるスケジュールでこそ生きてきます。
韓国グルメは、食べ方や街の雰囲気まで楽しみたい

食べたいものを軸に旅の予定を立てるのも、韓国旅行の楽しみ方の一つです。韓国観光公社が公開した2025年第1四半期の外国人観光客調査の暫定結果でも、訪問前に検討した活動として、グルメとショッピングが高い割合を占めています。季節や訪問者の構成によって結果が変わる四半期調査ですが、食事や買い物が旅の重要な目的になっていることを知る手がかりになります。
食の体験は、味だけではありません。ビビンバなら具材を混ぜながら食べる楽しさがあり、カムジャタンなら一緒に来た人と鍋を囲む時間があります。日本でも知っている料理を現地で食べる楽しみと、初めてのメニューに出会う面白さ。その両方があるのがいいところです。韓国では普段のランチとして親しまれている料理も、旅先では心に残る一食になり得ます。
一方で、有名だからという理由だけで、誰にでも合うとは言い切れません。たとえばカムジャタンは、骨付きの豚肉などを使う鍋料理。辛さや骨から肉を外して食べること、人数に合う量を注文できるかなど、写真だけでは分からない点もあります。初めてのお店を選ぶときは、どんな食事になるのか想像できる情報があると安心です。
ベーカリーにも同じことがいえます。日本でもなじみのある塩パンなら、味をイメージしながらお店ごとの食感や見た目の違いを楽しめます。韓国にしかない食べ物でなくても、旅の目的にはなるんですよね。どんな空間で選び、街歩きのどのタイミングで食べるか。その組み合わせまで含めて、現地で味わう理由になります。
コスメやファッションは、現地で選ぶ時間にも価値がある
韓国の商品は、日本からオンラインで購入できるものもあります。それでも現地のお店に足を運ぶ意味は、色や質感、服のシルエットを自分で確かめられることにあります。気になっていたブランドを比べたり、知らなかった商品に出会ったり。買うものを決めるまでの時間も、旅の楽しみになるわけです。
その規模を示す一例が、オリーブヤングです。同社の公式発表によると、2025年の外国人による購入額は1兆ウォン規模に達しました。一企業の実績なので、韓国全体の観光消費や、すべての旅行者の好みを示す数字ではありません。それでも、コスメへの関心が現地での買い物につながっている具体例にはなります。
ファッションの店舗やポップアップストアも、商品だけでなく空間づくりが訪問の理由になります。ディスプレイや体験企画が違えば、知っているブランドにも新しい発見があるはず。期間限定のポップアップを予定に入れるなら、開催日と入場方法を確認しておきたいところです。すべてが無料、予約不要とは限らないので、「着いたら入れる」と考えて予定を詰めすぎないほうが動きやすくなります。
薬局での買い物に関心がある場合も、店の話題性と商品の中身は分けて考えたいですね。薬局に置かれているからといって、すべてが医薬品というわけではありません。化粧品を選ぶことと、薬を選ぶことも別です。人気のお店で売れているという情報を、そのまま効果の裏付けとして受け取らないことが大切です。
お店探しから予約まで、使いやすさが旅の満足度を変える

行きたいお店が見つかっても、予約の途中で進めなくなったり、注文方法が分からなかったりすると、楽しみより不安が大きくなってしまいます。地図で場所を探せること、メニューや価格を理解できること、予約や支払いができること。こうした使いやすさも、お店の魅力が旅行者に伝わるための大切な条件です。
韓国の電話番号がないと予約できないのでは、と気になる人もいるでしょう。韓国観光公社の案内によると、CATCHTABLE GLOBALは韓国の電話番号なしで、GoogleやAppleのアカウント、またはメールアドレスを使って登録できます。韓国以外で発行されたカードで、予約時のデポジットを支払うことも可能です。
ただし、予約やオンラインでの順番待ち、店頭での受付など、使える機能は店舗によって異なります。アプリに掲載されているだけで、希望する方法を必ず使えるとは限りません。行きたいレストランの画面で、受付方法を確認しておくと予定を立てやすくなります。
この違いは、待っている間に近くのお店を見て回れるかにも関わります。食事の受付がスムーズなら、その前後の買い物やカフェ巡りも楽しみやすい。観光地を紹介するうえでは、魅力的な写真と同じくらい、実際に利用するまでの手順が重要だと考えます。
口コミも、その手順を知るために活用したいところです。Googleマップの口コミ件数は、そのまま外国人の来店者数を表すものではありません。韓国の人も投稿しますし、訪れた人が全員書き込むわけでもないからです。件数だけで人気を判断するより、最近の投稿に待ち時間、価格、注文方法などが具体的に書かれているかを見るほうが、旅行の準備には役立ちます。
また行きたくなる街には、予定を詰めすぎない余白がある
2025年の外国人観光客調査では、韓国を訪れた経験がある人の割合は56.6%でした。これは調査対象者のうち、過去にも訪韓したことがある人の比率です。今回訪れた人の半数以上が、将来また来るという予測ではありません。それでも、初めての旅行者向けの定番スポットだけでは捉えきれない需要があることは分かります。
リピーターなら、まだ歩いたことのない街の食堂や、新しいブランド、前回とは違う空間が旅の目的になるかもしれません。変化の多いソンスは、そうした楽しみを探す人とも相性のよい街でしょう。ただ、行列が長くなり、歩く場所や休める場所が見つけにくくなれば、見どころが増えても楽しめる時間は減ってしまいます。訪れる人の多さだけで、旅先としての良さは測れません。
有名になった場所を楽しみたい人もいれば、静かな路地で普段の暮らしに触れたい人もいます。どちらが正しい旅の仕方という話ではなく、違う過ごし方を選べることに価値があります。地元の人が通うお店や日々の暮らしが続いてこそ、旅行者が出会いたい街の個性も残っていくのだと思います。
ソンスの予定を組むなら、まずは気になるお店を一軒、食べたいものを一つ。その二つを軸にして、あとは歩きながら選べる時間を残すのがおすすめです。普通の食事や買い物、ひと休みを、自分の好きなようにつなげられること。韓国旅行の魅力を考えるときは、名所をいくつ回れるかより、その一日をどれだけ気持ちよく過ごせるかを大切にしたいです。



