旅行での基本知識韓国と日本で違うハネムーン先
ハネムーンの選び方が、少し変わってきています。
以前のように「遠くへ、豪華に」だけを目指すのではなく、予算、休暇の日数、フライトの疲れ方、ふたりの好みを合わせて行き先を決めるカップルが増えています。
ただし、韓国と日本では選ばれやすい場所が少し違います。韓国ではバリやモルディブなど海外リゾートの存在感が強く、日本ではハワイやヨーロッパへの憧れと並んで、沖縄や北海道など国内ハネムーンも目立っています。
韓国で目立つバリ人気

韓国の新婚旅行で、いま特に名前が挙がりやすいのがバリです。
韓国のハネムーン専門旅行会社・パムツアーの予約データをもとにした報道では、2025年の約2万組の選択を分析し、2026年のハネムーンキーワードとしてバリが大きく取り上げられています。
ウブドのジャングルビューのプールヴィラ、ヌサドゥアやウルワツの高級リゾート、フローティングブレックファスト、スパ。韓国では、こうした要素が「プライベート感がありながら、満足度も高いハネムーン」のイメージにつながっています。
バリが強い理由は、ただ南国リゾートだからではありません。滞在の組み立て方が、いまの韓国カップルに合いやすいのです。前半はウブドで森、ヨガ、スパを楽しみ、後半はビーチエリアのリゾートで何もしない時間を過ごす。ひとつの島の中で、休息と観光の両方を作れます。
写真に残しやすいのも大きなポイントです。プールヴィラ、朝食、サンセット、リゾートディナー。SNSに載せた時に「新婚旅行らしさ」が伝わりやすい場面が多く、韓国のウェディング文化とも相性がいい印象です。
さらに、モルディブほど予算が大きくなりすぎず、ハワイほど為替の影響を強く感じにくいこともあります。もちろん時期やホテルのランクで費用は変わりますが、「少し背伸びした贅沢」を作りやすい場所として見られています。
ゆっくり休めて、写真も残せる。いまの韓国カップルが求めるバランスに合いやすい目的地です。
モルディブとハワイも強い

バリの人気が目立つ一方で、モルディブ、ハワイ、カンクン、ヨーロッパも韓国の定番ハネムーンとして強さを保っています。
モルディブは、水上ヴィラとオールインクルーシブリゾートのイメージが圧倒的です。ひとつの島にひとつのリゾート、という構造も「一生に一度の旅行」らしさを感じさせます。
ハワイは為替の負担があっても、治安、ショッピング、アクティビティ、ビーチリゾートをまとめて楽しめる安心感があります。カンクンはカリブ海とオールインクルーシブ型リゾート、ヨーロッパはイタリア、フランス、スイスなどをめぐる長めの旅が人気です。
目的地ごとに、選ばれる理由は少しずつ違います。モルディブは「完全にふたりでこもる旅」。ホテルの外に出て観光するというより、リゾートそのものが旅の目的になります。忙しい結婚準備を終えて、ただ静かに休みたいカップルに向いています。
ハワイは、初めての長距離旅行でも動きやすい安心感があります。ビーチで休み、アラモアナやワイケレで買い物をし、ドライブやレストランも楽しむ。韓国では昔から知られたハネムーン先なので、親世代にも説明しやすい目的地です。
カンクンは少し遠いですが、リゾート内で食事やドリンクを気にせず楽しめるオールインクルーシブ型が強みです。ヨーロッパは、イタリア周遊やフランス・スイスを組み合わせるような「一度に大きく回る旅」として選ばれやすくなっています。
遠くまで行くなら、しっかり特別感を出したい。韓国のハネムーンには、まだこの感覚が強く残っています。
近場の海外という選択

一方で、韓国でも「近場の海外」を選ぶ動きが広がっています。
長距離フライトや高い航空券が負担になるカップルにとって、日本、ベトナム、タイ、台湾は現実的な選択肢です。日本なら北海道、沖縄、九州の温泉地が候補に入りやすくなります。
韓国の会社員にとって、休暇の日数はハネムーン選びの大きな条件です。長く休めるならヨーロッパやカンクンも見えてきますが、結婚式の前後に使える日数が限られる場合、近場の海外はかなり現実的です。
日本はその中でも、移動の負担が少なく、食事や街歩きの安心感がある目的地です。東京や大阪のような都市旅行だけでなく、北海道の雪景色、沖縄のリゾート、九州の温泉など、ハネムーンらしい雰囲気を作れる地域が多いのも魅力です。
ベトナムやタイは、リゾートホテルの選択肢が広く、比較的短い日程でも南国感を出しやすい場所です。台湾はグルメと街歩きを中心に、気軽な海外旅行として選びやすい位置にあります。
北海道は雪景色と温泉、沖縄は南国リゾート、九州は旅館とグルメ。短ければ3泊4日、少し余裕があれば5泊6日でも、ハネムーンらしい雰囲気をつくりやすいのが魅力です。
遠くへ行かなくても、ふたりだけの特別感は作れる。そんな考え方が、少しずつ自然になっています。
日本では国内リゾートも強い

日本の新婚旅行は、海外と国内の両方に人気が分かれています。
海外なら、ハワイは今も王道です。マリンアクティビティ、ショッピング、リゾートホテル、初めての海外でも動きやすい安心感があり、日本のハネムーンランキングでも上位に出てきます。
ヨーロッパも根強い人気があります。なかでもイタリアは、ローマ、フィレンツェ、ヴェネチアなど、街そのものがロマンチックな旅行体験になる目的地です。
ただ、日本では国内ハネムーンの存在感もかなり大きめです。マイナビウエディングの新婚旅行ランキングでは、沖縄が全体の上位に入り、国内エリアでは沖縄本島、石垣島、北海道が目立つ存在として紹介されています。
日本で国内ハネムーンが自然に受け入れられている背景には、国内旅行の質の高さがあります。リゾートホテル、温泉旅館、観光列車、レンタカー旅、記念日向けの食事。海外に出なくても「特別な旅行」を作るための選択肢がそろっています。
また、言葉や通貨の不安がないことも大きな安心材料です。結婚式の準備で疲れた後に、空港や海外移動で消耗したくない。そんなカップルにとって、国内の上質なリゾートや旅館はかなり現実的な答えになります。
一方で、ハワイやヨーロッパへの憧れが弱くなったわけではありません。むしろ「海外で非日常を味わう旅」と「国内でゆっくり整える旅」が、同じハネムーンの選択肢として並んでいる状態です。
沖縄と北海道の安心感

沖縄は、日本国内にいながら南国リゾートの雰囲気を楽しめる場所です。長いフライトなしで海、リゾートホテル、レンタカードライブを楽しめるため、海外ビーチリゾートの代わりとしても選ばれやすくなっています。
特に沖縄本島は、初めてでも旅程を組みやすい場所です。那覇で食事や買い物を楽しみ、恩納村や読谷村のリゾートホテルで海を眺め、古宇利島や美ら海水族館方面へドライブする。短い日程でも、南国らしい場面をいくつも作れます。
石垣島や宮古島まで足を延ばせば、さらにリゾート感は強くなります。透明度の高い海、離島めぐり、静かなホテルステイ。派手に動き回るというより、ゆっくり気持ちをほどく旅に向いています。
北海道は、季節ごとに表情が変わるのが魅力です。夏は大自然とドライブ、冬は雪景色と温泉。札幌、小樽、富良野、美瑛をめぐるコースは、ゆっくり過ごしたいカップルに向いています。
夏の北海道は、ラベンダー畑や広い道を走るドライブが主役になります。冬なら、雪景色の中で温泉に入り、海鮮やスイーツを楽しむ旅に変わります。同じ北海道でも、季節が違うだけでまったく別のハネムーンになるのが面白いところです。
京都、箱根、九州の温泉地も、旅館、露天風呂、会席料理といった日本らしい上質な休み方をハネムーンに変えてくれます。
近いのに、ちゃんと特別。日本の国内ハネムーンが強い理由はここにあります。
旅の名前より、過ごし方へ

韓国と日本のハネムーンは、同じ問いから出発しています。
「ふたりだけの特別な旅行を、どこでいちばん自然に作れるか」。この問いに対して、韓国ではバリ、モルディブ、ハワイのような海外リゾートがまだ強く、日本ではハワイやヨーロッパに加えて、沖縄や北海道のような国内リゾートも大きな答えになっています。
見方を変えると、ハネムーンは目的地のランキングではなく、過ごし方のタイプで選ばれるようになっています。何もしない休息型、街を歩く体験型、短い日程で満足度を上げる近場型。どれを選ぶかで、必要な場所は変わります。
韓国のカップルは、海外リゾートで「新婚旅行らしい絵」を作ることにまだ強い魅力を感じています。日本のカップルは、海外への憧れを持ちながらも、国内で上質に休む選択をより自然に受け入れている印象です。
この違いは、どちらが正解という話ではありません。休暇の取りやすさ、航空券の価格、国内旅行インフラ、ふたりが大事にしたい時間。その組み合わせが違うだけです。
これからのハネムーンは、目的地の名前だけで決まるものではなさそうです。プールヴィラで静かに休むふたり、ヨーロッパの街を長く歩くふたり、温泉旅館で短く濃く過ごすふたり。どれも同じ時代の新婚旅行です。
大切なのは、ふたりが使える時間と予算の中で、いちばん自分たちらしい贅沢を選ぶこと。ハネムーンの正解は、ひとつではなくなっています。





